理事長所信

【はじめに】

グローバリゼーションにより変貌した現在の世界において、国や地域の境界の存在を容易に越え、急激に様々な事象が地球規模に拡大しています。新型コロナウィルスの影響拡大も例外ではありません。最初の症例が確認されてから約2年。地球規模で感染の拡大防止を目的とし、渡航制限の実施、国内においても人や物の流れにまで制限が課されました。

その結果、調達、製造、販売、消費は途切れ、供給面において影響を及ぼすことに留まらず、人の流れの制限に伴う対面サービスの需要も激減、供給と需要の両面に影響を及ぼし、これまでの災害危機、金融危機とは異なる変化を経済に生じさせました。また、感染拡大防止を目的とする人の交流の制限は、人の交流の在り方を考える重要性も社会に提起しました。

2022年度、私たちは、経済面と社会面に生じた変化が及した影響の中で、JC運動のスタートを切ります。1975年に可児市、御嵩町の未来を想い一般社団法人可児青年会議所を設立された先輩方、47年に亘り覚悟と責任感をもち変化する社会と向き合い活動された先輩方。私たちは、過去から現在、未来へ続く活動を刻む自覚をもつと共に、時代のトップランナーとして変化に対応する自覚をもたなければなりません。

 

【先頭を駆ける経済人としてのトレーニング】

かつては、地域にある資源を地域の人たちが活かすことで、必要とするモノをつくり、経済とお金と雇用を循環し、安心感や幸せをつくり出していました。しかし、現在は地域の経済人が、地域外の資源と人財によって、地域にお金をもってくることができるのです。

今後の地域経済において、重視すべきものは地域の経済人だと私は考えます。それは、経済人の成長こそが、会社や事業の成長に最も大きな影響があるからです。ひいては、人財を呼び込める機会を作り、モノやお金をより多く動かすことができるようになり、情報に恵まれるからです。

グローバル化とIT化により、どんな地域でも日本全国・世界につながることができる時代へと変化しました。その大きな経済の一部に取り込まれることのない、地域経済の独立した部分が確かに存在するのです。

全国や世界とつながりつつ、お金や雇用など、地域にとって不可欠なものは少しずつでも自分たちの手にいれること。そして地域の経済人の成長が、地域経済を活性化させ、豊かな地域社会を実現できる一つの方法だと考えます。

 

【青少年の選択肢となる故郷】

経済の発展に最も顕著に現れる数値は人口です。人財という表現があるように、地域にとって人というのは財産なのです。地方の人口減少の理由の一つとして、10代20代の若者の都市部への流出があります。例として、都会の利便性や就職先、新しい出会いを求めてという様々な理由が考えられます。若者がそのような理想をもっているのも理解できます。かつては私も同じ理由で上京しました。しかし、多くの若者がもっているそれらの判断材料は、私たちがもっている経験を踏まえたものより少ないと考えます。

例えば10年前のなりたい職業ランキングではランキング外だった職業も、現在では上位に入っています。時代の変化に伴い、時間や場所に職業が限定されることが少なくなり、大都市でなくとも職業の選択が自由になったのです。

また、インターネットで11年連続増収を遂げている業界の中でも、特にサービス系、通販系が伸びており、どこに住んでいても一定のサービスやモノが受けることができるようになりました。
一方で、青少年の憧れとして大都市に居住する願望があることは事実です。将来の住まいとして地域の明確なメリットがわかれば、青少年にとって有効な選択をする判断材料となり、地域の人口増加の一因となると考えます。

 

【JCによるJAYCEEの育成】

現在の可児JCには30歳半ばで入会し、在籍歴3年未満の正会員が多く存在します。JCに入会する目的は各々ですが、JAYCEEである以上、理事を経験し、会議に参加、議案書の作成に携わり、個々の成長につながる機会が与えられることがJAYCEEとしての理想ではないでしょうか。現状、可児JCでは理事経験や議案書の作成の機会は誰にでもあると言っても過言ではありません。

在籍年数の長短に関わらず、様々な業種で活躍する青年経済人が組織で個性をぶつけ合い、互いに学ぶ機会を創出することは、個々のJAYCEEとしての能力の向上はもちろんのこと、LOMの組織力向上をも実現いたします。それらはやがて実を結び、家族繫栄や社業の成長、果ては地域の成長へとつながると確信しております。

私は、2018年から2021年まで計4年間、LOMでの活動はもちろんのこと、日本JCや協議会に出向する機会を賜り、自己成長の機会として参りました。JCの真の魅力は、全国・全世界に渡たり、環境が異なる地域でも、同じ形式を共有する会議体である点です。背景や言葉すら違う同志も、同じ空の下で明るい豊かな社会の実現のために、運動を繰り広げているのです。そのアイデアや手法から、その時代に必要とされる新しい運動をつくり出す発想につながり、地域を支えていく力となると私は信じております。

 

【伝統を守ること】

JCはなぜ単年度制なのでしょうか。
昨年は、JC宣言が一新されただだけでなく、これまで伝統とされた対面式会議も、各LOMでさえ、オンライン開催されることが当たり前となりました。時代の流れは急速に加速し、一刻と変化しているのは10年単位ではなく、もはや1年単位なのです。1年という限られた期間で目的達成のために役職を全うする単年度制の意義をもう一度共に考えましょう。JCの伝統とは、先輩が築いてきたものを時代に合わせて変化させていくことなのです。時代に合わせた環境下でできること、すべきことは毎年違います。

今あるものを受け継いだ世代が、確実にその年に必要とされる方法にブラッシュアップすることが、時代の変化に対応、手法を増やし続けることとなり、地域は持続可能となります。可児JCの伝統を守り、新しい時代を皆でつくりましょう。

 

【おわりに】

私は本年度、JCに入会し8年を迎えます。幸いなことに、入会直後から事務局次長という役割を頂戴し、会議の円滑な運営と情報の開示のお手伝いをさせて頂きました。3年目には委員長として、地域のための事業を企画・立案・実行し、まちから求められることは何か、毎日考える機会を頂きました。その後、会計を担う役割から事業を予算、コンプライアンスの視点で支え、さらには出向の機会を頂き、そのすべてにおいて、他では得難い多くの学びと、多くの仲間を得ることもできました。

振り返れば、それぞれの機会を選択してきたことはもちろん重要ですが、選択した道で何をするかが最も重要であったと実感しています。失敗を恐れて何もしなければ、成功することはありえません。40歳で卒業、単年度制。限りある活動時間、限りある仲間との対話の中で自己のためすべきことを考え、共に行動しましょう。

一般社団法人可児青年会議所

第48代理事長 今井 悠一朗

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