2011年度理事長所信

若尾宗徳

社団法人可児青年会議所 第37代理事長
若尾 宗徳



はじめに

 「混沌としていない時代はあったのでしょうか」
 近年、テレビや新聞等のメディアでは「混沌」という言葉がよく使われています。JC宣言の中にも「混沌という未知の可能性を切り拓き」とありますが、青年会議所としての「混沌」とは「混迷」と異なり、マイナスの状況を示すものではなく、それ自体は正負どちらにも展開し得る、エネルギーが充満したニュートラルな状態を表すものであるとしています。現実として、いつの時代、どこの社会にも混沌はあり、それを切り拓き、新たな秩序を作り出すことが出来るのが、我々青年なのです。とりわけ今の日本社会では、その混沌をどのように切り拓いていくかが問題の本質であり、そこで青年会議所の真価が問われているのです。可児青年会議所として何が出来るのかをメンバー全員で考え、「明るい豊かな社会」の実現に向け運動を進めていきます。

● 地域力開発

 今日、地方分権の推進についての議論が多くされ、行政やまちづくりへの市民参画もいたるところで言われていますが、手放しで地方分権を受け入れることは危険です。地域が責任を持って自立するためには、住民自治の意識向上が必要であり、真の市民参画を実現するためには、意欲ある市民に限定されることなく多くの市民を巻き込み、社会全体の声や意思を広く吸い上げることが必要だと考えます。その実現のためには、行政サービスの受け手であった住民の意識や選択行動がより主体的になることが求められているのではないでしょうか。
 そして、自分たちのまちの課題は自分たちで解決していくという地方自治のあるべき姿に気づき、まちづくりに参画する機会やまちの未来について考える場を拡大していくことが重要です。そのためには、私たちが、市民の声を社会に届ける仕組みの拡充に積極的に取り組んで行く事が必要であると考えます。
 また、可児青年会議所として、昨年実施いたしました公開討論会によって、首長選挙の様相は変化し、政策本位による政治選択を市民自らが行っていく有効な手法としての認知が確実に広がってきています。
 本年度はこれらの運動を通じて、市民参画運動を推進し、人々の心が結びつくまちづくりを進めていきます。

● 青少年育成

 可児市内の中学校での「いじめ問題」が全国で報道されました。非常に残念な事件ではありますが、地域は問題に対して責任転嫁や非難を繰り返すのではなく現実を受け入れなくてはなりません。そもそも、子どもはこの世に白紙の状態で生まれてきます。生き方や善悪の判断はすべて大人から学び「いじめ」も大人から学んだものではないでしょうか。いじめを検討する会議において他の人と違う意見を言うと排除される事があるとも聞きました。このような現状の要因として様々なことが考えられますが、一つの要因として、高度な情報化社会への進化が考えられます。電子化等の普及により、人と接し直接会話をする機会が少なくなり、他人のことを考えず自己中心的になり、人への思いやりがなくなってきているからではないでしょうか。
 今まで可児青年会議所は青少年育成として、小学生を対象としたキャンプ等で「人を思いやる心」を育む為の活動を行ってまいりましたが、本年度は子どもだけでなく地域社会に対して「人を思いやる心」を広げ、地域全体で青少年を育成する風土が出来るよう運動を進めていきます。

● 会員力開発

 40歳になると青年会議所を卒業しますが、まちづくり、人づくりを卒業するわけではありません。卒業後、青年会議所の枠を外れて明るい豊かな社会を築く為に国や地域でのリーダーとしてより活躍する事が求められています。そのためにも、会員自身の資質を高めるトレーニングをする事が必要だと考えます。
 青年会議所の事業を進めるだけでも多くの学びを得られますが、本年はリーダーシップ、すなわち「目標を立て、人を動かし、目標達成に向けて導いて行く力」を高める為に必要なスキルをマインドとテクニック両者の観点から身につける研修を進めていきます。

おわりに

 可児青年会議所は、「明るい豊かな社会」を目指し、35年立ち止まることなく現在まで活動を積み重ねてきました。私は入会して11年目となりますが青年会議所こそが、社会を変革できる団体であると信じています。自らの手で未来を切り拓く気概を持ったメンバーが力を合わせ、あきらめることなく行動を起こせば、「明るい豊かな社会」は必ず実現できると確信しています。現在の社会を担い未来を拓くリーダーである我々は、目先のことだけにとらわれることなく大きな視野を持ち、我がまちの明るい未来を切り拓かなければなりません。
 我々は「今」を生きる責任世代として、揺るぎない信念とあきらめない行動で、未来を切り拓き、信じあい、支えあう「笑顔が溢れるやさしいまち」を創って参りましょう。愛するまちのため、子ども達の明るい未来のために。

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